Serendipity(セレンディピティ)
"ドンッ"
「痛っ…」
いきなり背中に衝撃が走る。
後ろを振り向くとそこには。
「…みやび、さん…?」
さっきまでタバコを吸い、
わたしの陰口を言っていたお店の子の1人だ。
ドレスを着たままこの寒い外に出て。
そんな怖い顔までして。
「ねえ、あんたさ。この店、辞めてくんない?」
「……は?」
タバコを片手に持ち、息をわざとわたしにかけてくる。
「あんたが辞めてくれればわたしの指名もっと増えるはずなの。あんたはキャバ嬢、やりたくてやってるわけじゃないでしょう?わたしは、やりたくてやってるの。」
「………」
陰で辞めろと言われたことなんて
何十回もあるけれど。
こう面と向かって言われたのは初めだった。
「…わたしにだって、みやびさんにはわからない事情ってもんが「はあ?笑わせんなよ」」
"ドンッ"
肩を思いきり押され、思わず後ろによろける。
「あんたみたいな"わたし無理矢理働かされてる感"出されてる奴がいると店側も困るんじゃないの〜?神崎も絶対そう思ってるわよ」