茜と不思議な夏


「....茜、皿落とさないように」


パパが優しく微笑みながら私を誘導する。


キッチンで料理をしている横にお兄ちゃんがベッタリとくっついている。


「....こら!朋也!」


....小学生の癖に、お母さんにべったりで、いつも傍から離れない。


「...美鈴さん、お料理をお持ちします」


....私の家族は変だ。


パパはママに妙に敬語だし、お兄ちゃんはマザコンだし。


茜ちゃんのパパはママのこと大好きなんだよってマンションに遊びに来たおじさんが言っていたけど....。


これじゃお兄ちゃんの方が....!


「....」


「朋也。お客さんが来るから手伝いなさい!」


ママの綺麗で艶やかな黒髪が揺れる。


お兄ちゃんは中学三年生で、それなりにモテる。というか学校が同じだから良く分かる。


いわゆる器用なタイプで、何でもそつ無くこなし、顔はパパに似てとても整っていて文武両道。


けど....マザコン。


パパはママに妙に敬語。昔ママに仕えていたとかお姉さんが言っていたけれど....。優しいけれどストーカー並に写真をフォルダし、バックアップし、ついでに私達のことをいちいち撮りまくる。


それ以外は顔もかっこいいし、料理も勉強も教えてくれるし、スポーツも歌も上手。完璧なのに....。


唯一まともなのがママ!ママのことは大好きだ。でも実家が凄くお金持ちで、泊まりに行った時にびっくりしたなぁ。


それに、小柄なのにしっかりしていて、パパとも凄く?仲良くて、好き合ってるのが良く伝わる。


将来、私はママみたいな人になりたくて頑張っている、中学2年生!
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