【壁ドン企画】騒がしい同期を黙らせる方法



着いた先はほこりっぽい資料室。


片倉は少し乱暴に扉を開いたかと思うと、がちゃりと鍵をかけた。



「ちょ、ちょっと!
なんで鍵なんて…」


「黙って」


イライラしたような口調で、そう言った
片倉はじりじりと、私を追いつめる。



条件反射で後退る私の背中に感じた
ひんやりとした感覚。





背中に壁。
目の前には、息が感じられるほど、
至近距離にある片倉の顔。

片倉は右手で私の頬に触れると、
左手で私の背後にある壁に手をついた。







…これ、もしかして
巷で話題の壁ドンじゃない?

まさか25になって壁ドン体験するなんて
思わなかった。




って、そんな冷静に状況整理してる場合じゃない!




…なんだか、体には力が上手く入らないし、
なんだか、距離はめちゃくちゃ近いし、


なんだか、さっきから心臓は
うるさいくらいに高鳴ってるし、





…なにときめいてんのよ。
相手はあの片倉よ?
うるさくて、テンション高くて、
いつも騒がしいあの片倉よ?





…なのに、なんで、


「…そう、その顔」


「え、」


そんなことを考えていたとき、
片倉が息づくようにそっと呟いた。





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