【壁ドン企画】騒がしい同期を黙らせる方法
「…その顔って、」
「俺のこと嫌ってるくせに、
…伊織ちゃん、いつもその顔する。
俺のこと好きでたまらないって顔」
「な、なに言って…っ」
片倉は少し焦った表情で、
距離を縮めてきた。
頬に触れていた片倉の右手は、
ゆっくりと、私の唇に触れた。
なによ、“俺のこと好きでたまらないって
顔”って。
…やめてよ、そんな近くで見つめられたら、
必死に隠してたのに、
顔が赤いってバレちゃう。
「隠したって無駄。
…そんな顔、俺以外の男に見せないでよ。
その涙目で睨んでくる顔、
すごい好き。
…可愛い。」
「ちょ、待って…っ」
必死で抵抗する私に、
片倉はぐっと近づいてきた
次の瞬間、唇に感じた優しくて柔らかい感触。
…ありえない。
大嫌いなこいつと、私、
キスしちゃってる。
キスをしてると認識したときには、
もっと深いものに変わっていた。
「かた…くら…っ、苦し…っ!」
酸欠になりそうになりながらも、
必死で抵抗すると、
片倉は名残惜しそうに、私から離れた。
「なに、するのよ…っ!」
「…そんな真っ赤な顔して睨んだって効かないよ。
むしろ逆効果。」