【壁ドン企画】騒がしい同期を黙らせる方法



…息が上手くできない。
こいつに見つめられるといつもこうだ。


…大嫌いなのに、
鬱陶しいのに、


騒ぎだした心臓は、そう簡単には
静まってくれない。





…なんでよ、なんでそんなことするのよ。

ただ、からかいたいだけなら、
なにもキスまでしなくて、いいじゃない…



「…やめてよ。


鬱陶しいくらいに話しかけてきたり、
髪に触れるくらいなら、まだ
受け流せたけど、


…からかいたいだけなら、
キスまでしなくても…っ」




そこまで、言ったとき、
私の唇にまた感じた柔らかい感触。




…もう、わけわかんない。


苦しいのに、大嫌いな片倉なのに、





全力で抵抗できない。





「…“からかいたいだけ”って?


あのね、俺だって、
どうでもいい女にこんなことするほど、
ふざけた男じゃないんだよ?」




私から離れた片倉は、
はぁ、とため息をついて、呆れたような表情でそう言った。




十分ふざけてるくせに、
よく言う。



…そんな真剣な顔したって、
騙されてやんないから。



私はそう意気込んで、
目の前の片倉をキッと睨んだ。



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