【壁ドン企画】騒がしい同期を黙らせる方法
「…そうやって睨んだ顔も、
俺の名前を呼ぶ可愛い声も、
いい匂いがするさらさらの髪も、
…鬱陶しいって思われても、
どんな手段を使ったって、伊織ちゃんの全部を独占したいって思うんだから、
しょうがないでしょ。
…抑えがきかなくなる。」
「う、嘘…」
「嘘じゃない。」
半信半疑の私をなだめるように、
真剣な顔で私を見つめる片倉。
…片倉はふざけたやつ。
でも、こういう嘘はつかないやつだって
わかってる。
わかってるけど、
素直になれない私のこの性格が、
邪魔をして片倉の目を見つめ返せない。
…ここまできたら、もう意地だ。
やられっぱなしは性にあわない。
私は目の前にある片倉のネクタイを
引っ張って、その無防備な唇に
今度は私からキスをした。
「…え、今…伊織ちゃん…」
目を丸くして、真っ赤な顔で驚く片倉。
きっと、私も片倉と同じくらい赤い顔を
してるんだろうけど、
片倉の驚く顔に満足した私は
得意気に微笑んだ。
「やられたらやり返すの。」
「…ああ、もう!」
片倉は声をあらげたあと、
両手で顔を覆って、
“ほんと、やだ。もう伊織ちゃん嫌い。
バカ”と独り言のように呟いた。