喪失
第一章 星空
サックスの彼
私が最初に彼に出会ったのは、パソコンの画面の中だった―――
と言うと、なんだか聞こえが悪い。
ネット上の恋愛はしばしば咎められるけれど。
私の恋は、それとは少し違う。
大学の授業は、高校と違ってびっしり詰まってはいない。
どうしても、「空きコマ」と呼ばれる時間があって、私はその時間を悠々自適に過ごしていた。
友達と話したり、たまっているレポートを片付けたり。
一人で暇なときは、ラウンジのパソコンをいじったりする。
その日は、何の気なしにある楽器について調べていた。
それは、サックス。
中学生の頃は吹奏楽部だったけれど、私は希望の楽器を吹くことができなかった。
それで、その頃からずっと憧れている楽器がサックスなんだ。
低音楽器を担当していた私は、旋律を吹いてみたいといつも思っていた。
旋律を吹く楽器、その中でも特にかっこいいのが、アルトサックス。
大学生の今は無理だけれど、働くようになったら、楽器を習いたい。
そして、その楽器とともに、地域の吹奏楽団に入りたい。
中学生のとき、私は体のせいで、結局最後まで吹奏楽部を続けられなかった。
それが悔しいんだ。
だから、あの頃の夢を、大人になったらもう一度追いかけたい。
そう思っている。
近くの教室やら、月謝やら、具体的なことを調べていた私。
でも、憧れている割には、私は何も知らない。
サックスで吹けるジャズの名曲とか、そういうのも知らない。
何かあるかな、そう思って。
動画を検索した。
それが、あなたに出会うきっかけになるなんて、思いもしないで。
と言うと、なんだか聞こえが悪い。
ネット上の恋愛はしばしば咎められるけれど。
私の恋は、それとは少し違う。
大学の授業は、高校と違ってびっしり詰まってはいない。
どうしても、「空きコマ」と呼ばれる時間があって、私はその時間を悠々自適に過ごしていた。
友達と話したり、たまっているレポートを片付けたり。
一人で暇なときは、ラウンジのパソコンをいじったりする。
その日は、何の気なしにある楽器について調べていた。
それは、サックス。
中学生の頃は吹奏楽部だったけれど、私は希望の楽器を吹くことができなかった。
それで、その頃からずっと憧れている楽器がサックスなんだ。
低音楽器を担当していた私は、旋律を吹いてみたいといつも思っていた。
旋律を吹く楽器、その中でも特にかっこいいのが、アルトサックス。
大学生の今は無理だけれど、働くようになったら、楽器を習いたい。
そして、その楽器とともに、地域の吹奏楽団に入りたい。
中学生のとき、私は体のせいで、結局最後まで吹奏楽部を続けられなかった。
それが悔しいんだ。
だから、あの頃の夢を、大人になったらもう一度追いかけたい。
そう思っている。
近くの教室やら、月謝やら、具体的なことを調べていた私。
でも、憧れている割には、私は何も知らない。
サックスで吹けるジャズの名曲とか、そういうのも知らない。
何かあるかな、そう思って。
動画を検索した。
それが、あなたに出会うきっかけになるなんて、思いもしないで。
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