真夜中のパレード
おかしいと思ってそのまま救急車を呼んで、
すぐに入院することになった。
左半身が麻痺していると医者が言っていた。
最初はここまで大事になると思わなかった。
手術をすればすぐに退院して、
元通り元気になると思っていた。
けれど母親の意識は、もうずっと戻らない。
投薬して、手術もして、
なのに状況は一向に変わらない。
入院費も積み重なり、とても透子一人が
払える金額ではなくなった。
近くに住んでいる母の弟が援助したり
お見舞いに来てくれるけれど、
あまり頼りすぎるわけにもいかない。
結局申し訳ないと思いつつ、
母親が大事に貯めていた
貯金を切り崩して費用を支払うことになった。
それは皮肉にも、
「透子が結婚式をあげる時にでも使って」
と言われて預かっていたものだった。
こんなに母親が大変な時に、
上条さんと会っていていいのだろうか。
自然と罪悪感が胸につもり、
何をしていても苦しんでいる母に
悪いような気がしてくる。