真夜中のパレード
何度謝っても、許されることじゃない。
だけどせめて、言わないと。
上条は透子の肩に触れ、
ぽつりと言葉を落とした。
「天音さん、頭を上げてください。
私は怒ったり、あなたを問い詰めたり
したいわけじゃないんです」
「でもっ……!」
顔を上げると、いつもと違う表情の彼がいた。
「私は……悲しかったんです」
自分に泣く資格なんてない。
なのに彼を見ていると、悲しさが伝わってきて
思わず瞳がうるんだ。
ぎゅっと手を握りしめる。
こんなに悲しそうな顔をしているのは、
すべて自分の招いた結果だ。
上条は絞りだすような声で、
懸命に透子に告げた。
「出会い方が出会い方なので、信用してもらえないのも
無理はないかもしれません」
「そんな……!」
「けれど俺は、あなたをいずれ母に紹介したいと
思っていました」
母親という言葉に、どきりと大きく心臓がはねる。
彼の声が、切実さを帯びていく。