真夜中のパレード
ぼろぼろと涙が零れていく。
いっそ罵ってくれればよかった。
お前の顔なんてもう見たくないと、
最低だ、出会わなければよかったと。
そう言ってくれれば自分の罪悪感が満たされて、
離れられる気がしたのに。
……こんな風に笑顔を見せられたら、
性懲りも無くそれに頼ってしまいたくなる。
透子は彼を見上げ、必死に言葉を紡いだ。
「もう、あなたに嘘をつきたくない」
涙の雫が頬を伝う。
「でも、本当のことは言えないんです。
……絶対に」
彼は最初から言及する気もなかったようだ。
静かにその言葉を認める。
「分かりました。
じゃあ、天音さんでいいんですよね?」
透子は上条の服を、ぎゅっと強く握った。
「ごめんなさい」
何度謝っても、足りない。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」
「いいんです」
「だけどっ!」
身体を抱き寄せられ、唇を塞がれる。
目蓋が熱い。
何度もキスを重ねて唇を離すと、いつも通りの上条がいた。
「もう、謝らなくていいですから」