真夜中のパレード
上条はあらためて言葉にしたくなった。
透子に向かい合い、真剣に告げる。
「天音さん」
「はい」
「あなたが好きです」
そう伝えると、
恥ずかしそうに少し潤んだ瞳で
それでもはっきりとした答えが返ってくる。
「……はい。私も」
一度顔を赤らめ、そこで言葉を切る。
彼女の頬を、透明な美しい雫が流れた。
「好き、です。
直樹さんが、好きです」
その言葉を聞いて、
情けないけれど涙が流れそうになった。
彼女を引き寄せてやわらかい身体をぎゅっと抱いた。
これも嘘だろうか?
一瞬そんな考えが頭を掠めたけれど、
すぐにそれを打ち消す。
――もう、いいんだ。
愛しくて、大切で。
自分が出来ることなら何でもしたいと思った。
たとえ彼女が、どんな秘密を抱えていようと。
彼女を抱くたび、過去なんてどうでもよくなった。