真夜中のパレード
彼女に触れるたび、
これから何度嘘をつかれても、
側にいられればもういいんだと。
きっと何度嘘をつかれても、すべて許してしまえると、
本気でそう思ったから。
「……天音さん」
「はい」
言葉にしても、きっと無駄だ。
彼女の存在こそが、
自分にとっては真実だったから。
だけど、愚かな自分はどうしても何度も
彼女に確認したくなった。
口にした声に、何の意味なんてなくても。
せめて、今だけは。
それはまるで、神聖な祈りのように。
「お願いだから、どこにも行かないでください」
すると透子は天使のように微笑み返した。
「直樹さん」
「はい」
それはまるで未来を示唆するような、
少し残酷な問いかけだった。
「私がいなくなったら、
私のことを探してくれますか?」