真夜中のパレード
☆
夜が深まって来た。
早く眠らないといけないと思うけれど、なかなか心が落ち着かない。
上条は散々迷った挙句、彼女に質問することを決意した。
「天音さん」
「はい」
「起きてますか」
「はい」
腕の中から、愛らしい声がかえってくる。
「質問してもいいですか?
……言いたくなかったら、言わなくていいです」
「はい、どうぞ」
その言葉に、彼女の身体少し強張ったのが分かった。
「どうして名前、あのカフェの店員と同じにしたんですか?」
どうしようか考え少し沈黙した様子を見せ、
やがてゆっくり話しだした。
「私、ずっと自分が大嫌いでした」
「……どうして?」
「思ったように、出来ないから。
理想として思い描いた自分には、ちっともなれなくて。
特に私は、自分の顔が大嫌いなんです」
「そんな。
あなたほど美しい人なんて、見たことがありませんよ」
上条がそう伝えると、
透子はより悲しそうな表情になった。