真夜中のパレード
外に目をやると、濡れたアスファルトの上を
車が走っていた。
いつのまにか雨は上がり、雲間から太陽の光が
こちらを見下ろしていた。
置かれたチョコレートの金色の包装をそっと撫でる。
長方形のチョコレートをそっとかじると、
さらに甘くて涙がこぼれた。
彼女の優しさに触れた瞬間、
一気に世界が蘇った気がした。
「私、ぼろぼろ泣きながらそのココアを飲みました。
飲んでる間は悲しいこと、全部忘れてって言われたのに」
「そんなことがあったんですか」
「えぇ。藤咲さんにとっては、
何でもないことかもしれません」
透子はゆっくり瞳を閉じる。
「でも、私は本当に嬉しかった。
大げさかもしれないけれど、
あぁ、世界はこんなに美しかったんだなって、
そう思いました」
上条は真剣な眼差しを透子に向けた。
「それから、あのカフェによく通うよくになって。
私、人見知りなんですけど、
藤咲さんと時々お話するようになったんです」