真夜中のパレード
深まる違和感
そうだ、確認しておかないと。
上条は、席を立ち上がり
七瀬透子をじっと見つめた。
七瀬はいつも帰りが遅い。
与えられた仕事の量は他の女子社員と同じだ。
同じフロアの女子社員達は、皆自分の持ち分を終わらせて
きっちり定時に上がる。
七瀬透子だけは夜遅くまで残り、
自分の帰る時間直前まで必死に仕事をしている所を
目にする。
その度「終わらないなら俺がやるからいい」
と言うのだが、無理して必死に自力で終わらせようとする。
七瀬がこの部署に入って四ヶ月だ。
とはいえ、もう四ヶ月。
今の仕事量をこなせないようなら、
少し厳しい。
今の状況が改善しないなら、
何かしら対策を練らなければいけない。
そう思いながら上条は透子の後ろに近づいた。
「七瀬、ちょっといいか?」
「はい?」
七瀬透子がこちらに振り返る。
相変わらず疲れたような、
垢抜けない顔をしている。