真夜中のパレード
☆
十数分してから、上条だけがフロアに戻ってきた。
透子は彼を見つけるとはっとして駆け寄り、
上条に声をかける。
「上条さん! あの、私、何か……」
上条は疲れたように眉を寄せ、
頷いて透子を呼び出した。
「……そうだな、七瀬にも話を聞かないと。
ちょっと来てくれ」
「はい」
透子はどきどきしながら彼の後ろを歩いた。
上条は透子を応接室の中に入るよう促し、
外にあったプレートを「使用中」に変更した。
普段は客の応対や新入社員の面接に使う部屋だ。
中に入ってこうして誰かと話をするのは
入社した時以来だった。
上条は椅子に浅く腰掛け、
手に持っていた紙の束を透子に見せた。
「これは、今日七瀬が作成していた書類だな」
「はい」
その通りだったので、
透子は素直に頷いた。