真夜中のパレード
「でも、どう考えても自分が他の女子社員より
多く仕事をしてるのは分かってただろう!
疑問を感じたら、
すぐに誰かに相談しろ!」
「は、はいっ、すみませんでした!」
やっぱり怒ってた!
透子は小さくなってこくこくと頷いた。
ふっ、と息を吐く音が聞こえる。
透子が顔を上げると、
上条が少し笑っていた。
その表情に天音と二人でいる時の面影を感じ、
どきっとした。
目を伏せ、上条は小さな声で告げた。
「悪かった」
「……え?」
「俺も、きちんと目をかけるべきだった。
何かおかしいとは思っていたんだ。
本当は俺がもっと早く気づかないといけなかったのに」
彼が責任を感じていると分かり、
両手を振って否定した。
「そ、そんな!
上条さんは、外出していることが
多いですから!
中のことは、自分で対処しないと」
上条は渋い表情で透子に釘をさす。
「もう少し、俺に頼ってくれ」
「は、はい」
「困ったことがあったら、いつでも言ってくれ」
「はい」