真夜中のパレード
「そんなもん待てるか!
ほら、そこに乗れ! 俺が送る」
「いえ、でも、私……」
「いいから座れっ!」
上条に強く身体を引かれ、
ふらふらした足でどうにか助手席に座る。
「鈴架総合病院でいいんだな?
それなら俺も場所が分かる」
「あの、でも、ご迷惑を」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!
早くしろ!」
「は、はいっ!」
病院に近づくほど、
外は暗く明かりのない方向へ向かう。
しばらく上条も透子も、
一言も話さなかった。
透子は助手席で、
震える手を重ね合わせ
祈るように目を閉じていた。
「……親戚か誰か、いないのか?
もし近くに住んでいるのなら、
今のうちに連絡をしたほうがいいだろう」
「そっか、そうですね」
透子が携帯を取り出すと、
見ていない間に何度も病院から着信があったようだ。
それでも通じなかったので
職場まで連絡してくれたのだろう。