真夜中のパレード
透子は近くに住んでいる母の弟に電話をかける。
しわがれた叔父の声が聞こえて来た。
「……おじさん?
透子だけど。
うん、あのね、……そう。
……お母さんが危篤みたいなの。
……うん、うん。
分かった」
透子は青い顔のままで、
深い溜め息を車内に落とす。
透子が電話を切ると、上条は心配気な視線を注いだ。
「どうだった?」
「近くに叔父さんがいるんですけど、
今仕事で遠出しているみたいで。
なるべく早くこっちに向かうけれど、
どう頑張っても明日の朝になるって……」
「そうか」
信号を待つ時間が、ひどく長く感じた。
上条はぎゅっと目を閉じる。
透子が不安な顔をしているのを、
とても見ていられない。
誰か、彼女の支えになって
安心させてやって欲しいと思う。
病院につくと、
透子はすぐに母の病室に案内された。
「あ、上条さん、私……!」
看護師の後ろを歩きながら、
途中で上条の方を振り返る。
「俺のことは気にするな。
早く行ってあげてくれ」
「はい、ありがとうございます!」
透子は一瞬迷った後、
いそいで母親の病室に入った。