真夜中のパレード
空っぽの器
母が死んだ。
死後の処置をするから
一旦部屋を出てくださいと言われ、
透子はふらふらと病室を出る。
あまりにもあっけなく。
母は死んでしまった。
医師や看護婦が、色々なことを話していた。
死亡届けを出して、葬儀屋に連絡をして、
遺体を引き取ってもらわなければならないと。
葬儀屋という単語を頭の隅でとらえ、
まだ何も考えられない頭で叔父に連絡をすると
あらかじめ話し合って決めていた葬儀屋に
取り次いで手続きは
ほとんどしてくれるらしい。
病院にも葬儀屋にも自分が対処するから、
一度帰ってゆっくり休んでと言ってくれた。
自分が喪主なのに、
彼にまかせきりで申し訳ないと思う。
空虚な身体を、
涙が雨のように無感情に流れていく。
まだ現実感がない。
これは、本当に現実に起こっていることなのだろうか?