真夜中のパレード
「あの、でも……」
「ほら、座れ」
そう言われ、抵抗しきる気力もなくて
透子はのろのろと彼の車の助手席に座った。
透子は真っ暗な景色を眺めながら、
上条に頭を下げた。
「本当に、今日はすみませんでした。
色々ご迷惑をおかけしてしまって、
何てお詫びしたらいいのか……」
かっとなり、
上条が大きな声を張り上げた。
「いい加減にしろっ!」
その反応に驚き、
透子の身体がびくっとはねる。
しばらく互いに何も言えないまま、押し黙っていた。
「あの……」
最初に口を開いたのは透子の方だった。
それに答える上条の声は、
優しくて悲しかった。
「悪い。
怒りたいわけじゃないんだ」
透子は彼の言葉に耳をかたむける。
「……こんな時まで、我慢するな。
ここには俺しかいない。
もう、我慢しなくていいだろ」
――その言葉を聞いた瞬間。
なくしていた心が自分の所に戻ってきたように、
ぶわっと涙があふれた。