真夜中のパレード
七瀬透子を見ていると、
自分でも信じられない感情がどんどん湧き上がってきた。
震えそうになる手のひらを、必死に握りしめる。
視線を向けると、
降り積もる雪の中で必死に太陽を目指して咲く花のように
凛とした佇まいだった。
きっとまた、我慢している。
上条はその時の自分の思いを疑った。
けれど、
次から次へと湧き上がる衝動を少しずつ受け入れた。
彼女の心に、もっと深く触れたいと思った。
――自分が抱きしめて、
せめて今だけでも思い切り泣かせてやりたいと思った。
もしかしたら、同情しているだけかもしれない。
ただ動揺しているだけで、
一時の気の迷いかもしれない。
それでも強く、心を染める思いがあった。
上条は必死に自分を律した。
決して、口にしてはいけない。