真夜中のパレード




透子は身体を小さくすくめ、俯きがちに足を進めながら考える。


普通に考えれば冬馬だって自分とは正反対の世界に住んでいる人間だ。


初対面であの外見の冬馬と出会ったら、絶対に仲良くなるタイプではなかっただろう。



だけど昔から口調は乱暴でも、自分が泣いている時は文句を言いつつ、絶対に側にいてくれた。


彼は女友達が出来なかった透子にとって、唯一と言っていいほどの大切な友人だった。


冬馬がいてくれてよかった。
あらためて思う。


自分が『擬態』を施して平和に毎日を送れるのも、
母のことがあってもかろうじて平穏を保っていられるのも、
きっと全部冬馬が側にいてくれるからだ。



薄暗い路地を歩きながら、病院のことを思い出した。



――母の具合がよくない。



もともとあまり身体が強い人ではなかった。


脳梗塞だと言われ、最近ではほとんど意識を保っていられない。


そんな状況でもなんとか折れずに耐えていられるのは、冬馬がいてくれる所が大きいと思う。


お見舞いにはなるべく欠かさず行きたい。
本当は仕事なんてやめて、すべて投げ出して一日中母の側についていたい。

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