真夜中のパレード


自分と冬馬が子供だった時を思い返す。


冬馬は今とあまり変わらず、

ツンとした顔で、

生意気で。


けれど顔の作りはかわいらしいからか、
昔から女の子には人気があった。


透子の中の彼のイメージは、
その時の生意気な子供から今もあまり変化がなかった。


透子にとって冬馬は、
いつも一緒に遊んだ、
偉そうな弟のような印象だった。


中学生の時、
冬馬と仲がいいことを
彼のことが好きな女子数人に責められたことがあった。


それを見つけた冬馬が、
彼女達に向かって大きな声で叫んだ。



「俺が透子と付き合うなんて、
あるわけねぇだろ!

そんな風に透子を見たことなんて、
一度もねぇよ!

ふざけたこと言ってんじゃねぇ!」


そう、激怒していた。


てっきり自分なんかと恋人扱いされるのが死ぬほど嫌なんだと思ったし、
恋愛対象とは欠片も思っていないと、そういう認識だったけれど。

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