真夜中のパレード
そっと耳に触れる。
自分が鈍すぎただけ?
そこでふと、
冬馬に何人も彼女がいたのを思い出す。
「あっ、そういえば!」
モデルやら、看護師やら、
ファミレスの店員やら、
とにかく色々。
彼女の話なんて、今までずっと聞かされていた。
そんなのを知っていて、
自分を好きだというのを
信じろというのも
やっぱり不可解だ。
……けれど、さっきの冬馬の眼差しは、
真剣だった。
そして、
もしこれを断ったら
冬馬も自分から離れていってしまうだろうか?
そう思うと、
胸が張り裂けそうになった。
透子は床に座ったまま、
しばらく冬馬のことを考え続けた。