真夜中のパレード
幼なじみ
次の日透子は、冬馬をSantanaに呼び出していた。
「ごめんね、忙しいのに」
心地いい音楽と、
互いの表情が分かるかどうかくらいの、
うっすらとした照明。
やっぱりこの店が好きだと思いつつ、
透子はやってきた冬馬に笑顔を向けた。
「別に、いいけど」
冬馬は不機嫌そうに息をついて、
席に腰掛ける。
「……で?」
透子は落ち着かない様子で指を膝の上で
せわしなく動かしながら、
言いづらそうに口を開いた。
「あの、昨日の話、なんだけど」
ぴくりと冬馬の表情が強張る。
「私、あれから、よく考えたんだけど……」
そこまで言った所で、
向かいから冬馬の左手が伸ばされた。
「ストップ!」
「ん?」
彼は目を半分閉じ、
睨むように透子を見上げる。
「その返しは、どう考えても断る言い方だろ」
「う、ん……」