真夜中のパレード
……けれど。
「あの、ね」
透子は申し訳ないと思いつつ、
自分の結論を口にした。
「冬馬は私にとって、すごく大事な人だよ。
……だけど、それはやっぱり、
幼なじみとしてというか、
兄妹みたいな感じっていうか」
冬馬は溜め息を吐き、目蓋を伏せる。
「お前はそれについて、
今後変化させてみようとか
そういう考えはないわけ?」
「……変化、か」
透子は薄く微笑み、
ささやくように話しかける。
「そうだね、
前の私ならもしかして、
そういう考えもあったかも」
その表情に、悲しみが混じる。
「……でも、この先は無理だな」
心に浮かぶ大切な人のことを考えただけで、
涙が出そうだった。
「……私、
直樹さんのこと、
まだ好きだから」
「それだって、変わるかもしんねーだろ」
それに対しての答えははっきりしたものだった。
「ううん、変わらない」