真夜中のパレード
出張
どうして、
こうなってしまったのか。
「七瀬」
「はい」
それは突然だった。
夕方透子が仕事をあがろうとしていると、
上条に声をかけられた。
「七瀬、来週の火曜日って予定空いてるよな?」
予定というのは仕事の話だろう。
透子は手帳を確認し、
素直に返事をした。
「はい、空いていますが」
上条も透子の予定が空いているのは、
あらかじめ確認して分かっていたのだろう。
「四菱商事の案件で手が足りないから
一緒に出張に行く予定になってるが、大丈夫か?」
「は……い」
大丈夫か、と言われても、
あらかじめ何もないと答えたので、断れるわけもなく。
「じゃあ、そういうことだからよろしく」
「……はい」
はい、はい、と二つ返事をしてから。