真夜中のパレード
家に帰って風呂につかりながら、
やっと事の重大さに気づき
一人で葛藤していた。
……上条さんと、出張?
それは長時間、
二人で一緒に過ごすことを意味していた。
さぁっと血の気が引いていく気がした。
「む、無理っ!
上条さんと一緒に、
丸二日くらい過ごさなきゃいけないってこと!?
しかも二人きりで!?」
失恋した相手と一緒にずっといるなんて、
想像しただけで具合が悪くなりそうだった。
ただでさえ顔を見るだけで辛いから、
最近は極力上条さんのことを見ないように
過ごしてたのに。
透子はばしゃっと湯船にもぐり、
泣きそうになっていた。
「……どうしよう」
どうしようと考えても、
仕事だから回避する方法があるわけでもなく。
何か理由を作って人に変わってもらうか
当日休めば行かなくてもすむだろうが、
透子の性格上自分の都合でそんな勝手なことをするのも
不可能だった。
どうしよう、どうしようと悩みつづけ、
結局お湯を上がる頃にはのぼせかけていた。