真夜中のパレード
日々合コンや飲み会に参加しまくり、
自分の外見を磨くのに必死な
ギラギラしたオーラさえ感じる
同じフロアの女性社員と比べると、
七瀬透子の外見へのこだわりのなさは
異端といってもいいほどだった。
上条はブランケットを彼女の肩にそっと被せ、
目を細めた。
それから冷たいお茶を口に運び、
少し顔をしかめる。
……最近、七瀬は自分を避けようとしている気がする。
仕事中も彼女のことが気になって
つい目で追ってしまうけれど、
自分が近づこうとすると
途端に距離を取られてしまう。
元から嫌われているのなら仕方ないと諦められるが、
少なくとも彼女の母親が
入院していた頃や亡くなった直後は
もっと自然な笑顔を見せてくれていた気がする。
何か嫌がることをしてしまったのだろうか?
考えるけれど、特段思いつくような原因はない。
こうやって出張の補佐を
透子に依頼したのは、初めてのことだった。
一緒に遠出するなら
男の堀田や渡部の方が慣れているし、気が楽だった。
けれど、木本に仕事を無理矢理手伝わされていた件で
透子が予想以上に有能なことに気づいた。