真夜中のパレード




「おい、七瀬、着いたぞ」


「え……?」


声をかけられて顔を上げると、
もう空港に到着していた。


席の間に行列ができ、
みんな飛行機から降りる準備をしていた。


「あ、すみません!」


透子は驚いて髪の毛を指で整えた。


寝たフリをするつもりだったのに、
完全に熟睡してしまった。


昨日色々考えて、
あんまり深く眠れなかったからかもしれない。


「ほら、降りるぞ」

「はい」


まだはっきりしない頭で、
透子は上条の後ろに着いて歩いた。



透子と上条が取引先に到着し、

挨拶をすませるとすぐに
機器の設置をすることになった。

会議室に新製品の映像投影機をレンタルし、

プレゼンを行っている間

うまく機械が作動しているかチェックする。



と言っても、機械の設置は
あらかじめ呼んでおいた業者の人間がしてくれるので
透子と上条はあまりやることがなかった。


会議室で業者の人達が
忙しそうに大型の機材を設置するのを眺める。


透子は邪魔にならないように壁際に寄って、
機械が組み立てられていく様を懸命に見ていた。


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