真夜中のパレード
「……上条さん」
上条はその隣で腕を組み、
のんびりコーヒーを飲んでいる。
「何だ」
「私、見ているだけでいいんでしょうか」
「業者の人に質問されたら答えてくれ」
「はい」
しばらく黙って見ていたけれど、
特にトラブルも起こらない。
透子は何か手伝いたい気分になって、
また上条に質問する。
「上条さん」
「何だ」
上条は眠そうに壁に寄りかかっている。
「私はこの部屋で、
機器の設置の監督をすればいいんですよね?」
「あぁ」
透子は上条の顔を見上げた。
「それでは上条さんは何をするんですか?」
彼は真顔で、事も無げに答えた。
「俺は監督をしているお前を監督する」
「……それは必要なのですか?」
「……いないよりはいいだろう」
そう言って、コーヒーを飲む。
透子は自分がなぜ連れて来られたのか
疑問に思っていた。
これだったら、上条さん一人でよかったのでは。