真夜中のパレード
それを察したのか、上条は透子を見下ろして
軽く笑う。
「今は時間に余裕があるけど、
帰りは機材の撤去を限られた時間でやらないと
いけないからな。
ビシバシ動いてもらうぞ」
「は、はい」
考えを見ぬかれたのに驚いて、
間の抜けた返事をしてしまった。
プレゼンが終わり機器の撤去の時間になると、
言葉通り目の回るような忙しさだった。
さっきのぼんやり待っていた時間が嘘のように、
上条と透子も部屋の状態復帰の準備を手伝う。
「それはダンボールに詰めてくれ!」
「はい!」
透子は手に持った小型の白いカメラを
緩衝材でくるりと包んだ。
「梱包、しっかりしてくれ。それ割れやすいからな」
「はいっ!」