真夜中のパレード
「いえ、あまり食欲がないので。
私は後で一人で食べます」
あっさりそう言い切って、
背中を向けて去ってしまおうとする。
まただ。
急に、別人のように冷たくなる。
一応、こっちだって勇気を出して誘ったんだ。
なのに、この態度。
上条はいい加減理由の分からない透子の冷たさと、
ぎこちない態度に苛立ちを感じ始めていた。
仕事のことなら平気だし
さっきまでは普通に話していたのに、
どうして仕事を離れると途端に距離を置こうとするのか。
彼女の腕を握って引き止めた。
「……待て、七瀬」
「はい?」
その冷静な声も、また上条の気持ちを波打たせた。
上条の中で苛立ちがどんどん募っていく。
「お前、何か俺に言いたいことが
あるんじゃないのか?」
「何かって……何ですか?」
「何だか最近、おかしいだろう」
「おかしいというのは?」
「どうして俺を避ける?」
「別に避けていませんが」
「嘘をつけ、
まともに目も合わそうとしないだろう!」