真夜中のパレード
見れば見るほど、彼女の美しさに惹きつけられた。
しんしんと降り積もる雪よりも真っ白な肌。
ほんのりと桜色の頬に、大きくて魅力的な瞳。
その目は少女のように少しうるんで、じっと自分を見上げていた。
ピンク色に色づいた唇から、愛らしい声がこぼれる。
「……あのぅ、大丈夫ですか?」
彼女が心配そうに自分を見ている。
「あっ! いえ、その」
何か言わなくてはと思うのに、声が出ない。
ドン、と胸が早鐘を打った。
鼓動が速くなり、思わず胸を押さえる。
――何だ、これは。
「む、胸が……」
「え?」
透子が目を見開き、上条をじっと見つめる。
するといっそう顔が赤くなり、動悸が速まるのを感じた。
「呼吸が、出来なくて」
そう口にした途端、彼女は青ざめ慌てた様子で口を華奢な手のひらで覆った。
「大変! さっき、どこか怪我されたんですか!?」
「い、いえ」
あなたが美しすぎて、息が止まりそうになりました。
などと気障なセリフを吐く勇気はさすがに持ちあわせてなかった。