真夜中のパレード
噂
出張を終え、透子と上条は普段の生活に戻った。
透子は自分の机で、いつもの様にデスクワークをしていた。
少し離れている所にある、上条の席をじっと見つめる。
今日は外出しているらしい。
机の主がいなくて、さみしく見える。
あれから何か言ってくるかと思ったけれど、
特に接触しようとする気配もなかった。
いつも通りにしてくださいと自分で言ったくせに、
その通りにされると寂しいと思ってしまう自分は、
何てひねくれているのだろう。
透子が昼を食べようと食堂に向かうと、
野田と桝田、井上の三人組に声をかけられた。
彼女達もちょうど今から食券を買うところだったらしい。
「七瀬さん、昼一緒に食べない?」
「本当? ありがとう。じゃあ、一緒に食べてもいいかな?」
「うん、七瀬さんは何にするのー?」
「今日は焼き魚にしようかな」
最近彼女達と話す時、前より気を使わなくなった。
自分を受け入れようとしてくれる空気があるからかもしれない。
やっぱり同じ場所で仕事をしているのだから、
仲良くなれたほうが嬉しいに決まっている。
三人の気遣いが、素直にありがたいと思った。