真夜中のパレード



そして照れたように笑う。


「今さらすぎるよね。
何年生きてきてるんだって感じだって、
私も思うんだけど」


「……お前、自分の顔のことで
ずっと散々悩んでたじゃねーか。
それで俺が顔作ってやった時、嬉しそうにしてて」


冬馬の視線も、自然と窓の外の時計台に辿り着いた。


「それって結局全部、余計なことだったのか?」


透子は大きく首を横に振って否定する。



「まさか、そんなことないよ。

冬馬が協力してくれたから、
就職してから今まで平和に毎日送れたんだ。

私、今までこんな風に普通に過ごしたことがなかったから。

毎日が新鮮だったし、嬉しかった。

擬態してなかったら、とっくに折れて引きこもってたかも」


「……でも、やめるのか?」


透子はさっぱりとした笑顔で頷いた。


「うん。
冬馬、いつも弱い私を支えてくれてありがとう」


「……別に、俺は何も」

< 281 / 307 >

この作品をシェア

pagetop