真夜中のパレード
そして照れたように笑う。
「今さらすぎるよね。
何年生きてきてるんだって感じだって、
私も思うんだけど」
「……お前、自分の顔のことで
ずっと散々悩んでたじゃねーか。
それで俺が顔作ってやった時、嬉しそうにしてて」
冬馬の視線も、自然と窓の外の時計台に辿り着いた。
「それって結局全部、余計なことだったのか?」
透子は大きく首を横に振って否定する。
「まさか、そんなことないよ。
冬馬が協力してくれたから、
就職してから今まで平和に毎日送れたんだ。
私、今までこんな風に普通に過ごしたことがなかったから。
毎日が新鮮だったし、嬉しかった。
擬態してなかったら、とっくに折れて引きこもってたかも」
「……でも、やめるのか?」
透子はさっぱりとした笑顔で頷いた。
「うん。
冬馬、いつも弱い私を支えてくれてありがとう」
「……別に、俺は何も」