真夜中のパレード
新しい風
絶対に早く起きると決めた日は、
不思議と身体もそれに対応する。
いつもより二時間早く目を覚まし、
鳴る予定のアラームを解除する。
透子はカーテンを開け、顔を洗った。
流れ落ちる水が冷たくて、気持ちが引き締まる。
真っ白なシャツに腕を通し、
スカートとを着る。
そして昔母が使っていた鏡台の前に座って化粧を始めた。
化粧水を塗りながら、
じっと自分の顔を見つめる。
それから、口の端を上げて無理矢理笑ってみた。
やっぱり笑顔を作るのはあまりうまくなくて、
それに自分で笑ってしまった。
支度を終えると、
紅茶をいれて焼きたてのトーストにジャムを塗った。
少し焦げている。
テレビをつけると、今日は一日中いい天気だと
キャスターがハキハキした声で教えてくれた。
食べ終わるとお皿を流しに置いて、水をためた。
それから居間に置いてある母親の遺影の前に座った。
少し曲がっている写真を、正面に向け直す。
透子は母の写真に向かい、両手を合わせた。
「お母さん。
今日、頑張ってくるから。
……見ててね」