真夜中のパレード
終わりにしたくありません
透子が上条を連れてきたのは、近くにあった24時間営業のファミレスだった。
上条は取りあえずコーヒーを注文する。
「あの、先ほどは本当にありがとうございました!」
低姿勢で何度も感謝され、上条ははっと我に返る。
「いえ、当然のことをしたまでですから」
そう返事をして、あらためて透子の顔をじっと見つめる。
そして、自分の考えがいかに浅薄な物だったかを思い知った。
さっき彼女の顔がまるでこの世の者ではないような、それこそ天女か女神かのように美しく見えたのはひょっとしたら薄暗い所にいたからではないのかと思っていたのだ。
もしかしたら、目の錯覚ではないのかと。
しかし明るい店内で見てみると、先ほどより明確に彼女が想像を絶する美貌を持つ女性であることを理解した。