真夜中のパレード
大きな花束を



一週間後の金曜日の夕方、透子と冬馬はまた『Santana』にいた。



「この間冬馬と会った帰りね」

「あぁ」


「怖い人にぶつかって、からまれたの」


言った瞬間、冬馬の顔が強張る。



「お前、すぐ俺を呼べよ!」


「だ、だって冬馬は彼女3の家に行くって言ってたし、邪魔をしたら悪いかと思って」


「んなもんどうでもいいんだよ! 
お前、そういう時はすぐ電話しろっ!」


透子は苦笑いしながら、偶然上条に助けて貰ったことを報告した。




「それでね、とりあえず何度か電話がかかってきて……
今日、お礼に晩御飯だけ食べる約束なの」


冬馬は目を細め、にんまりと微笑んだ。


「へぇ。順調にいってるんじゃねーか」

「え?」


彼はゆっくりした口調で呟いた。


「ふ・く・しゅ・う、だよ」


思わず席を立ち上がりそうになる。


「そんな……! 
私は、そんなつもりなくて、ただ!」


それを聞いた途端、冬馬の機嫌が悪くなる。

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