真夜中のパレード
苦手な上司


「あなたがミスしたことで、私の仕事が遅れるのよ!」

「はい、すみません」

「すみませんすみませんって、本当に反省してるの!?」

「はい……」


木本(きもと)は透子に渡された資料を投げつけた。
紙の束がばらけ、机の下にひらひらと散らばっていく。


「それ、全部やり直してね! 今日中に!」

「……はい」

透子は申し訳無さそうに返事をし、落ちた資料を拾い集めた。


木本はもともと他人を見下すような所がある女だった。
そして透子は今の部署に異動してすぐの頃から木本に目をつけられ、ねちねち絡まれていた。



派手だったり派閥を組んでいるような女子社員は面倒くさいが、透子はもともと大人しく一人でいることが多かった。


そのため透子は木本の格好のストレス解消要因として目をつけられたらしかった。


要は自分より若い女子社員なら誰でも気にいらないけれど、特に誰かにそのはけ口になってほしいということらしい。


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