真夜中のパレード
「よかった、ラブストーリー以外受け付けなかったらどうしようかと思いました」
上条はほっとしたようにコーヒーを口に運んだ。
「そんなことないですよ。面白そうなら何でも見ますから」
そう答えてから付け加える。
「あ、でもあんまり怖いのはダメですけど。
グロテスクなのは、目を開けていられないです」
するとくすくすと声を立てて笑う。
「?」
「いえ、かわいいなと思って。
そういうことを言われると、逆に怖いのを見せたくなりますけど」
透子は目を細めて彼を睨む。
「上条さん、意地悪ですね」
上条は嬉しそうに透子に視線を合わせた。
「じゃあ次は、死ぬほど怖い映画を見に行きましょうね」
「だから行きませんって!」