真夜中のパレード
きらきらと水の雫が輝いている。
ゆっくりとした噴水の動きを見ていると、心が落ち着いた。
「天音さん」
「はい?」
上条に呼びかけられ、透子は顔を上げる。
「これ、よかったら、受け取ってください」
「……何ですか?」
透子はリボンのかかった細長い箱を受け取った。
赤いリボンを解くと、中からはさっき透子が欲しがっていた花のチャームの
ネックレスが入っていた。
――いつの間に。
「これ……」
おそらく彼も迷っていたからなかなか渡せなかったのだろう。
透子は首を振って眉を下げた。
「悪いです、受け取れません。
私、映画も食事も結局上条さんに全部出してもらってばかりで。
最初にお会いした時も、助けてもらったのに」
上条は透子を見下ろすように向かいに立った。
「気にしないでください。
私がしたくてしてるんですから」
「でも……!
上条さんにお礼をしようと思ってきたのに、結局私は何も出来ていません」
そう訴えると、楽しげに微笑まれた。