真夜中のパレード
「お前、そいつと付き合うのか?」
「そういうんじゃないけど」
「つうか好きな女の前でだけ態度違いすぎじゃねーか。
やめとけやめとけ、そんな男」
そう言われると、笑みがこぼれた。
「あはは。
まぁ確かに、普段とちょっと違うなぁとは思うけど」
「ちょっとどころじゃねぇだろ」
なぜか冬馬は偉そうに胸をはる。
「言っとくけど、俺はいつもこのまんまだぞ」
「そうでしょうねー」
冬馬はカップをもてあそびながら透子を睨む。
「どうせまたすぐ会う約束でもしてんだろ?」
「うん」
上条は、まめにメールを送ってきてくれる。
たいていは他愛のない日常の報告だけれど、すぐ近くにいるのに文章から垣間見える彼の生活は新鮮な感じがしておもしろかった。
透子はにこにこしながら報告する。
「今度の休みは水族館に行く予定なんだ」
「……勝手にしろよ」
冬馬は始終つまらなそうな表情で聞いていた。