真夜中のパレード
かわいいですよ
「なんだか急に天気が悪くなってきましたね」
「そうですね」
水族館を出ると、夕方になっていた。
さっき館内で見た時は赤い夕焼けが浮かんでいい天気だったのに、
急に空が曇ってきた。
予報では特に雨とは言っていなかったので
なんだか損をした気分だった。
「取りあえず、車に戻りましょうか」
「はい」
二人は駐車場に向かう。
上条は空を見上げ、心配そうに眉をひそめた。
「あいつ、大丈夫かな」
「あいつ?」
問いかけると、少し表情をゆるめて首を振った。
「いえ、うちで猫を飼ってるんですけど、
雨だといつも機嫌が悪いんですよ」
透子がぴたりと歩みを止める。
「天音さん?」
振り返った上条の服をきゅっと引っ張り、
透子は真剣な眼差しで問いかけた。
「……上条さんのお家、猫ちゃんがいるんですか?」
「えぇ」