真夜中のパレード
話をしているのは同じフロアの野田(のだ)と桝田(ますだ)、それに井上(いのうえ)のようだ。
この三人は仲がよくて、昼休みはいつも一緒に行動している。
「結婚出来ないからって若い女子に当たるのやめて欲しいよねー」
「あんないつもイライラした顔してるんじゃ、そりゃ貰い手ないでしょーよ」
「若い時はきれいだったんだろうけどねー。
いっつも睨んでばっかりだから顔全体にシワ寄ってますよーって感じ」
うわぁきついこと言うなぁ、とドキドキしながら嵐がすぎるのを待つ。
「でも、木本が怒りたくなるのもちょっと分かるかもー」
「えー?」
自分の方に話が変わったのに気づき、思わず凍りつく。
「だって七瀬さんって、暗いんだもーん。
いつもはい、はいって返事するだけで、何考えてるか分かんないしぃ」
「まぁねぇ。同期のあたし達とも全然喋ってくれないよね」
「てゆーか七瀬さんって、誰とも話さないよねぇ」
「あの顔見てたら、いじめたくなる気持ちも分かるかもー」
「きゃはは、香織(かおり)きっつーい!」
「ところで香織、この間の合コンどーだった?」
「あ、もう全然ダメぇ」