真夜中のパレード
どしゃああああああああああっ、と突然バケツをひっくり返したような土砂降りになった。
「きゃあああああっ!」
「うわ、すごいな!」
上条は車のドアを開けた。
「天音さん、早く車に乗ってください!」
「は、はい!」
一瞬でびちゃびちゃになった服をハンカチで拭く。
焼け石に水だ。はっきり言って何の意味もない。
「上条さん、すみません、車がぬれちゃって」
「いや、しょうがないですよ。唐突でしたね」
「はいっ」
動揺しながら空を睨んだ。
さっきまで曇っていたけれど、何もなかったのに。
雨の勢いが強すぎて、外の景色が灰色に潰れたように見えるくらいの豪雨になっていた。
上条の唇からふぅ、と苦い溜息がこぼれる。
「今日はもうどこにも行けませんね。
ここまで強い雨だと、またすぐ晴れそうな感じもしますけど」
「そうですね……」
透子は楽しかった休日が突然終わりになって、少し寂しく思っていた。
上条は上条で、濡れて所々服がすけている透子を直視出来ない。
動揺がばれないように、強くハンドルを握る。
「とにかく、家まで送ります」
「えっと……」