真夜中のパレード



部屋の中は男性らしく、さっぱりした印象だった。

きちんと掃除もしてある。




「じゃ、じゃあとりあえず、天音さんシャワーを浴びてきてください」



上条も緊張した顔でタオルを持ってきた。



「い、いえ、で、でもっ……!」



「そんな格好じゃ風邪をひきますよ。うち、乾燥機ありますから。
シャワー浴びてる間に洗って乾かしちゃいます」


「……は、はい」


困惑しながら、渡されたバスタオルと着替えを受け取る。




……どうしよう。


どうしよう、どうしよう、どうしよう。


とりあえずワンピースを脱いで、彼が言ってくれた通りに空っぽの洗濯機に入れる。


風呂場に入ってシャワーを浴び、かつらを外す。



頭を洗うのと同時に、かつらもごしごしと念入りに洗った。


透子は複雑な顔つきでかつらを見下ろした。


これ、シャンプーで洗っちゃってよかったのかなぁ……。

留め具のピン、さびるかもしれない。
今度冬馬に手入れの仕方を聞いてみよう。



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