真夜中のパレード
☆
上条は風呂あがりの透子を見て心の中でガッツポーズをした。
「ドライヤー、使ってください。
私も身体洗って来ますね」
「は、はい」
「すみません、姉の服で」
「いえいえ、ありがたいです」
本当は、タンスの奥深くを探ればTシャツだって
姉がくらい物くらいあったかもしれない。
いや、確実にあるはずだった。
しかし、天音には自分の少し大きめのTシャツを
着て欲しいというのが、上条のほんのささやかな願望だった。
「じゃあ、飲み物とか好きに飲んでくださいね」
「はい」
透子は髪を乾かし終わり、
落ち着かない気持ちでぺたんとクッションの上に座った。
そして、部屋の中をちらちら観察しながら
思考をフル回転させていた。
どうしよう。
この、逃げられない雰囲気。
しかし、さすがにデート二回目でそういうことを
するなんて、自分には……。
想像するだけで、ぼっと顔が熱くなりそうだった。
やはりいくら考えても、無理だという結論しか出なかった。