真夜中のパレード
その時、太ももをもぞもぞと何かくすぐったい
感触が走った。
「きゃっ!」
悲鳴をあげて目を見開くと、
もこもこした物体がさっと足の上を横切った。
「……毛玉?」
じっとそれを観察する。
毛玉ではなく、猫だった。
気がつくところころとした猫が、自分の隣にちょこんと座っていた。
「あ! あ、あーっ!」
透子は今さっきまでの考えていた色々なことを
すっかり忘れ、猫に手を伸ばした。
「あなたが上条さんの!」
興奮した面持ちで猫に話しかける。
「こ、こんにちは!」
猫は言ったことが分かったのか分からないのか、
なー、と一言鳴いて毛づくろいする。
かわいい! かわいい! かわいいっ!
心の中では走り回りたいくらいわくわくしていた。
「さ、触ってもよろしいでしょうか?」
恐る恐る手を伸ばすと、猫は肯定するように透子に近づいた。